2014年は『アナ雪』一色!『アナと雪の女王』が世界レベルで受け入れられた理由

2013年11月の全米公開から始まった『アナと雪の女王』の快進撃は、全ての記録を塗り替えるまで止まらないような勢いで、現在も世界中で進行している。まさに世界規模で展開する『アナ雪』ブーム。大ヒットの理由として挙げられるのは次の9つ。


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感情移入しやすい表情作り

リアルCGアニメは実写に近ければいいというわけではない。実写と見まごうばかりのCGアニメーションは、『バイオハザード・ダムネーション』やゲーム『Star Wars: The Old Republic』のムービーなどのようにハイクオリティの作品が制作できる時代だ。でも、リアルだから感情移入ができるかというと決してそうではない。アニメーションが人の心をつかむためには、愛着が持てる作画であることが必要だ。

『アナと雪の女王』のエルサとアナの表情は、アニメのかわいさとリアルな表情の動きとのバランスが絶妙。一つ間違えば「かわいいけどアニメ」か「アニメのくせにリアルで気持ち悪い」のどちらかに転んでしまうところを、見事に稜線をたどっている感じ。実写では表現できないかわいらしさを見せるキャラクターに、誰もが感情移入せずにはいられない。

親しみやすい曲作り

どこの国でも受けがいいのは子どもの歌う歌、短調から長調へドラマチックに盛り上がる曲、軽妙で明るい曲だ。『アナと雪の女王』の主要曲「雪だるまつくろう」「生まれてはじめて」「とびら開けて」、そして「レット・イット・ゴー」は、それぞれが別々にヒットする要素を受け持っており、映画の挿入曲としては稀に見る構成の妙を感じさせる。
映画のサウンドトラック内でヒットする曲がこれだけ揃えられたというのは、舞台音楽の作曲で知られるロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻の作曲センスによるところが大きい。歌詞の響きまで考慮された高度な掛け合いもあり、舞台ミュージカルを見ているかのような気持ちになる奥行きのある音楽は、単なるアニメ音楽の域に留まらない。

ちなみに「雪だるまつくろう」で幼少時のアナ役で歌っているのは同夫婦の娘。

確かな歌唱力・演技力のある声優の起用

アン役はブロードウェイ経験もあり、TVドラマ『ヴェロニカ・マーズ』のヴェロニカ役で大ブレイクしたクリスティン・アン・ベル。エルサ役はブロードウェイのミュージカル女優でTVドラマ『glee/グリー』にも出演しているイディナ・メンゼル。クリストフ役のジョナサン・グロフも『glee/グリー』出演で人気を博している。話題作りのための有名俳優の起用などに走らずにミュージカル経験者を集めたことで、演技の面でも歌唱力の面でも最高レベルと言える作品に仕上がった。

うっとりするほどの氷の描写

誰でも透明で美しいものが好き。氷雪の世界や氷りついていく描写が、今までのアニメでは類を見ないほどのクオリティで表現されている。「レット・イット・ゴー」の歌声が流れる氷の宮殿のシーンなどは何回見ても美しい。うっとりと見とれてしまう映像美は近代アニメ随一と言える。

真実の愛=姉妹愛という選択が斬新

ディズニーにありがちな「王子様とキスして幸せに」という結末を選ばなかった主人公が斬新。男への愛より姉への愛が勝ったという、誰もが「そうきたか!」と驚き、そのあとで妙に納得してしまうオチが面白い。いかにも今どきという感じがあり、女性のみならず男性にとっても、ありきたりのラストではなかったことが共感を呼んだ。「同性愛の肯定」とも噂されているがさすがにそれはこじつけか。

なるべくしてなった「ダブルヒロイン」という設定が斬新

もともとのプロットでは姉のエルサはヴェノム(悪役)だったのだが、出来上がってきた「レット・イット・ゴー」のあまりの素晴らしさに、設定さえもが変更されたという話。こうしてディズニー映画初の「ダブルヒロイン」起用となったのだが、結果的にこれがウリになり、大ヒットにつながった。単なる「ガール・ミーツ・ボーイ」的なストーリーではここまでのヒットはなかったのは確かだろう。

Youtube等での拡散やカヴァー祭り

『アナと雪の女王』に関しては、早い時期から公式ミュージック・クリップがYoutubeに公開され、世界中の人々が無料で視聴することができた。また、プロ・アマチュアを問わず世界中でコピーやカヴァーがつくられて動画でアップされている。これらの拡散が作中歌をポピュラーなものにしたこともヒットの理由。Youtubeでの「Let It Go」の再生回数は2億回を超え、現在も伸び続けている。

ディズニー社が自らローカライズ

各国での公開に際して、俳優・声優の起用など吹き替え戦略を担当する部署がディズニー社内にあり、それぞれの国でキャラクターイメージに合ったキャストを選考している。Youtubeにアップされている「25ヵ国語バージョン」を聴くと、声質の統一が徹底されているのがわかる。母国語バージョンを同時上映することで、作品の持つ細かいニュアンスを観客に正しく伝えることができ、感情移入もしやすくなる。原題『FROZEN』から邦題『アナと雪の女王』に変えたことも、日本公開に際しては大変大きな効果があったと思われる。

ジョン・ラセター帰り咲きによる効果

ディズニー色からの脱却や3D-CGアニメの制作を推進して古参のクリエイターたちから反発を受け、1984年に解雇されたジョン・ラセター。ディズニー社を離れた後、ピクサー社の設立に貢献した彼は『トイ・ストーリー』シリーズの成功などで制作者としての地位を確立。2006年にピクサー社ごとディズニー社に買収され、チーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任。『塔の上のラプンツェル』『シュガー・ラッシュ』など、それまでのディズニー作品とは一線を画したアニメ作品を生み出す原動力となっている。

さまざまな要素が機能し合って生まれた世紀の大ヒット作品『アナと雪の女王』。恐らく世界興行収入の歴代3位に達することは確実と見られ、1位の『アバター』、2位の『タイタニック』にどこまで迫れるかが期待されている。

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