
By: Alba Estévez G. – CC BY 2.0
イギリスBBCが制作したTVドラマシリーズ『シャーロック』。ベネディクト・カンバーバッチが演じるのは、それまでのホームズが持つクールでシャープなイメージに加え、「セクシー」なイメージを付け加えた異色のシャーロック。
これまでのイメージを覆すキャラクター設定に加えて、舞台を現代のロンドンに移すなど、かなりチャレンジャーなドラマだったが、にもかかわらず世界中のシャーロキアンから好意的に認められたのは、カンバーバッチのシャーロックがどこか「キュート」だから。天才であるがゆえに変人であり、不器用ながら時折普通の人と同じように振る舞おうと努力する姿が垣間見えたりして、何ともかわいい。
この人気シリーズ、私も含めた多くのファンが心待ちにしていたシーズン3の放送がようやく始まった。90分ものが3話で1シリーズのため、1シーズンで観られる内容が少なくて歯がゆいが、それがまた良いのだろう。
歴代「シャーロック」とは全く異なる魅力
TVドラマや映画、舞台などでシャーロック・ホームズを演じた俳優はギネス記録になっているほど多いが、「シャーロック」としての評価が高い俳優は少ない。
◇1960年代の代表的なシャーロックはピーター・カッシング。日本では「偉大なモフ・ターキン総督」のイメージが強いが、英国のホームズファン協会が公認した唯一の俳優と言われている。
◇日本で最も有名なTV版シャーロックはジェレミー・ブレット。『シャーロック・ホームズの冒険』は日本で全話DVD化されている唯一のホームズもの。彼のイギリスでも「史上最高のホームズ」として高い評価を受けている。
カンバーバッチ演じるホームズのイメージは、歴代のホームズの持つ紳士的なイメージとはかなり異なる。女嫌いで他人への配慮に欠け、事件オタクで自己欲求が最優先の、友達にはなれないタイプのホームズ。でも現代の感覚では、これらの欠点は架空の世界の主人公としてはこの上なく愛される要素。
現代の器具や薬品、スマートフォンなどのガジェットやSNSなどのネットワークを使いこなす、キュートでちょっとイタい探偵に対して、視聴者は愛着以外のものを感じない。
特別エピソードを挟んでシーズン4へ
人気シリーズの続きは1話限りの特別エピソード1篇を挟んでシーズン4へと続くことが決定している。カンバーバッチは『スター・トレック イントゥ・ダークネス』で悪役カーンを演じ、強烈なインパクトを残してしまった。ザ・サン紙の「最もセクシーな男」に選ばれたりと、いろいろ注目されてますます忙しくなっていく彼だが、シャーロック・シリーズに関しては初心を忘れず最後まで全力で演じきって欲しいと切に願う。