某ニュースキャスターが仏像盗難事件を報道した際に、「仏教ってのは、そもそも生きる上で物質世界にとらわれている、その執着をダメだよっていう教えでもあるんですけどね」から始まって、仏像に執着するなという主旨のコメントをしたことで視聴者から「窃盗犯擁護」のように捉えられて炎上しました。
→仏像窃盗に「物質世界に執着はダメ」古舘キャスターの「説教」に視聴者大反発
考え方は人それぞれなので誰が何を言おうが驚きはしません。ただ、仏教ってそういうものだったっけ、と少し疑問も感じたので、この機会に「仏教の教えって何?」という基本的な観点から少しだけ調べてみました。
仏教の基本的な考え方
仏教の基本は次の4つだとされています。
「一切皆苦(いっさいかいく)」
・・・この世の全てのものは、求めても思い通りにはならない
「諸行無常(しょぎょうむじょう)」
・・・この世の全てのものは移り変わっていくものであり、永久不変なものなどない
「諸法無我(しょほうむが)」
・・・この世には他と関係なしに独立して存在するものなどない
「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」
・・・煩悩を捨て、安らかな心をもって生きることこそが最高
もしまとめることができたなら、このようなことでしょう。
「この世は思い通りにならないもので、どんなものでもずっとそのままでいることはなく、また、他とのかかわり無くしては存在しえない。お金や物、地位や名誉、人間関係や自分の身体に至るまで、永遠にあり続けるものではないので、それに執着することは意味のないことである。怒りやプライド、誇り、欲望などの「煩悩」を消し去り、安らかな心をもって生きることこそ、最も幸せな”悟り”の境地である。」
物に執着していかん、ということはわかる気がします。
悟りを開くための八正道
では悟りの境地に達するためにはどんな修行をすればいいのかというと、「八正道」という8つの正しい道を心掛けることを説いています。
「正見(しょうけん)」
・・・正しいものの見方や考え方を持つ
「正思惟(しょうしゆい)」
・・・正しく考え判断する
「正語(しょうご)」
・・・ウソや無駄話、悪口などを慎む
「正業(しょうごう)」
・・・殺生、盗み、性的犯罪行為をしない
「正命(しょうみょう)」
・・・人として天に恥じない生活を、規律正しく営む
「正精進(しょうしょうじん)」
・・・常に善行を積む
「正念(しょうねん)」
・・・常に今現在の内外の状況を正しく把握する
「正定 (しょうじょう)」
・・・正しい集中力を保つ
仏教の世界は深いですから、さらに学んでいけばいろいろなことがわかってくるのかもしれません。でも「何を盗まれても許してあげなさい」みたいな教えではないし、盗みは正しい道ではないと教えているようですね。改めて調べてみて、ちょっと安心しました。
サンゴがなくなった海底に涙する地元漁師に「諸行無常」の話だけするなんてこと、とてもできません。憤りを感じるだけ、まだ自分は悟りの境地には遠いようです。