読むともう一度観たくなる!ジブリ『千と千尋の神隠し』の舞台・モデル・都市伝説・深読み

2001年に公開されて、興行収入304億円の歴代最高記録を打ち出した稀代の名作アニメ『千と千尋の神隠し』。愛される作品には様々なトリビアや都市伝説、そして深読み情報がつきものですが、『千と千尋・・・』に関しても様々な情報が飛び交っています。中には信じがたい話もありますが、そういうものも含めて”あることないこと”を楽しむのも一興。

スポンサーリンク

風俗業界を描いたものだという話

「油屋」は「湯屋」であり、モチーフは「風俗業」

yuya1

宮崎監督はあるインタビューの中で「今度は風俗業界を描きたい」という主旨の話をしていたそうです。江戸時代には地方の温泉宿から始まった混浴の公衆浴場「湯屋」が存在し、湯女(ゆな)と呼ばれる女性たちが働いていました。

湯女(ゆな)とは、江戸時代初期の都市において、銭湯で垢すりや髪すきのサービスを提供した女性である。中世には有馬温泉など温泉宿において見られ、次第に都市に移入された。当初は垢すりや髪すきのサービスだけだったが、次第に飲食や音曲に加え売春をするようになったため、幕府はしばしば禁止令を発令し、江戸では明暦3年(1657年)以降吉原遊郭のみに限定された。(Wikiより引用

千尋は借金の肩に売られた娼婦

普通の感覚ではあり得ないと思うような千尋の両親の行動は、「快楽に溺れてバカなことをして借金を作った親」を表現しており、千尋はその両親の借金の肩代わりに売られてしまった娘であるという解釈があります。

千は源氏名

「油屋」では本名ではない別の名前で呼ばれます。これは風俗業界でいう”源氏名(げんじな)”であり、本当の名前を忘れるというのは後戻りのできないところまでこの世界にどっぷり浸かってしまうことを指しています。

お客が全員男→娼館

油屋に来る八百万の神たちは全員男として描かれているようです。すべて個室であったり、女性客がいないことから、「風俗」的な施設であることが想像できます。

入り口に「回春」の文字

お腐れ様の来店で大慌てのシーン。湯婆婆の後ろの金の屏風には「回春」の文字が映っています。「病気の回復」や「若返り」の意味ですが、日本ではもっぱら「精力の復活」の意味合いで使いますね。

キャバクラ話が題材に

宮崎監督は鈴木敏夫プロデューサーから聞いたこんな話にアイデアをもらったと話していたそうです。

「人とちゃんと挨拶ができないような女の子がキャバクラで働くことで、心を開く訓練になることがあるそうですよ」

確かに千尋は油屋での生活を通じてしっかりした言葉遣いや自主性のようなものを身につけ、成長していきます。

死後の世界を描いたものだという話

トンネルの先は死後の世界

物語の冒頭で、車を不自然なほど暴走させる父親。この暴走で事故を起こし、3人とも瀕死の重傷になって死の世界へ足を突っ込み、三途の川を渡ってしまったのだという解釈があります。トンネルや川というのはこの世とあの世の境い目だというイメージが強いですね。

電車のモチーフは「銀河鉄道」

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の大ファンだという宮崎監督がどうしても描きたかったのが「海原と電車」だったという話。銀河鉄道の乗客がみんな死んだ人たちであったのと同様に、『千と千尋・・・』の電車に乗っている半透明な乗客たちも「肉体を持たない魂だけの存在」だという話です。

電車の行き先は「あの世」

釜爺が「降りる駅を間違えると大変なことになる」と忠告していることから、電車の終着駅は「あの世」であると考えられ、銭婆婆の住む「沼の底」はその一歩手前だと考えることができます。危険な旅だったのですね。

電車は魂が現世とあの世を行き来する手段

釜爺のセリフに「昔は戻りの電車があったが近頃は行きっぱなし」というものがありますが、昔はお盆で魂が返ってくることもあったけれど最近はそういう風習も薄れてしまった、という意味合いがあるという解釈もあります。

ホームに立つ少女

ホームにたたずむ女の子の姿が車内から見えるシーンがあります。この少女の正体については様々な憶測がありますが、都市伝説として有名なのは”『火垂るの墓』の節子”というもの。兄より先に亡くなった節子は、沼原駅のプラットホームで兄を待っているのだと言われています。

湯婆婆との契約 ~千尋とハクの違い

千尋は本名を伝えていなかった

千尋は契約書に本名を書きませんでした。当人が漢字を間違えたのか、わざとなのかはわかりませんが、荻野の「荻」が違うために契約が無効だった可能性があります。それが幸いして、ラストで契約を解消することができたのかもしれません。

ハクは契約を解消することはできない

終盤の「ハクと千尋の別れのシーン」では、千尋の手を放したハクの手だけが名残惜しげに映される数秒のカットがあります。これが湯婆婆の言葉通り「八つ裂きにされる運命」をハクが受け入れていて、千尋との永遠の決別を表しているという宮崎監督のコメントがあったとか。公開当時のジブリのHPでは「すべてのことはルールに従わなければならない」という世界観による「ハクの契約解除は不可能」という主旨の説明がなされていたという話もあります。湯婆婆に本当の名前を伝えた上での正規の契約を解除するための条件は「八つ裂き」やそれに相当する厳罰だったことが考えられます。

ハクは現世に戻ることができない

ハクのいたコハク川は埋め立てられてしまってすでに存在しないため、現世には戻れないということは容易に想像できます。現世で千尋に会うためには死んで魂になって戻るしか方法はなかったとか。

「カオナシ」が表現しているもの

カオナシは「金の亡者」のなれの果て

手から自在に金を出して贅沢三昧して、あげくには「千欲しい」と言い寄るカオナシ。物欲から逃れられないまま寂しくなくなった人の霊、あるいは物欲の象徴のような存在であるという解釈があります。

カオナシは千尋を身請けしようとする孤独な大金持ち

江戸時代の吉原などの描写では必ずと言っていいほど、花魁を身請けしようとする資産家が登場します。『千と千尋・・・』が遊郭をモチーフにしたとすれば、物語に欠かせない資産家の役割をカオナシに持たせたというところでしょうか。お金さえかければ女性をも買い取ることができるという、古き悪しき風習がカオナシという存在なのかもしれません。

「カオナシ」はサタン(悪魔)

千尋に懐き、千尋とともに電車に乗ったにもかかわらず、最終的に「沼の底」の銭婆婆の家に残る道を選んだカオナシ。その正体がサタン(悪魔)であるという指摘があります。

「ヨハネの黙示録」9章によると、サタンはその罪のために鎖でつながれ、1000年もの間とある場所に封印されていたと記されています。そこは堕落した天使を閉じ込めておく場所で「底知れぬ所」と呼ばれています。この「底知れぬ所」こそが「沼の底」だという解釈があります。

また、電車シーンの終盤に乗客が千尋とカオナシ達だけになった時、車外のネオンに「サタン」の表記が登場することも話題になりました。

「カオナシ」の顔のモデルが実在

カオナシのモデルは、原画担当の米林宏昌さんであると鈴木敏夫プロデューサーが語ったという話があります。米林さんはスタジオで麻呂(まろ)の愛称で呼ばれており、言われてみればカオナシに見えなくもありません。

物語のラストの演出

トンネルの色の違いで「解放」を表す

冒頭で車を止めたトンネルは赤いモルタル造りなのに、無事に車まで戻ってきた時のトンネルは白っぽいレンガ造りに変わっています。これには諸説ありますが、行きの3人はトンネルの前では既に魔法がかかった状態で赤いトンネルに吸い込まれていき、帰りは魔法が解けて現実世界に戻ってきたので普通のトンネルになっている、という解釈が一般的なようです。

トンネル内での会話

3人のトンネル内での会話は最初と最後を比較すると全く同じセリフや行動になっています。これは「異世界での記憶を失った千尋が帰りのトンネル内で行きと全く変わらない自分に戻った」「千尋は何も変わっていない、覚えていない」という宮崎監督の意図が隠されているという話です。

帰ってきた千尋には異世界での記憶がない

エンディングの様子では判断が付きませんが、帰りのトンネル内で母親にしがみつく千尋の姿は、行きと変わらない様子に見えることから、「トンネルを抜けた後の千尋には異世界での記憶がない」という噂が立ちました。

宮崎監督自身はとあるインタビューで、「ラストの千尋に異世界での記憶があるか」という問いに対してこう答えています。

「自分のやってきたことを全部覚えている人っていると思いますか?いないでしょ。でも銭婆の『一度あったことは忘れないもんさ』という言葉通り、人間の記憶って、思い出せないだけでどこかに残っているものだと思うんです。」

聴き方によっては、「忘れている」「覚えている」どちらともとれる回答ですね。

銭婆婆からもらった髪留め

元の世界に戻っても異世界と変わらない唯一のものが、千尋が銭婆婆からもらった髪留めです。この髪留めは、例え千尋が覚えていなくとも異世界の出来事が夢ではなかったという証拠です。

また、髪留めは光ることで何かを伝えようとしていると言われています。一度目は、決して振り返ってはいけないとハクから言われていた千尋が振り返りそうになってそれを自制した後。二度目は、トンネルを無事くぐり終えて帰ってきた千尋が、何も覚えていないながらも名残惜しむかのようにトンネルを見つめているときです。

物語のモデル

ストーリーの原案

原案となった小説は「霧のむこうのふしぎな町」(柏葉幸子 著)だというのは有名な話。本書のアニメ化を計画して長い間構想を練っていたというのはジブリの制作日誌にも載っており、『千と千尋・・・』に少なからず影響を与えたことは明白です。

 

『千と千尋・・・』公開後、講談社は「霧のむこうのふしぎな町」の帯に著者・挿絵画家の承諾なしに「『千と千尋の神隠し』の原案となったファンタジー」と表記。そのことを発端に挿絵画家・竹川功三郎氏が著作権に関して版元の講談社に抗議し、最終的には1975年の初版以来親しまれてきた挿絵が、新装版にて総入れ替えされることとなりました。

油屋のモデル

湯婆婆の経営する「油屋」のモデルとしては、現在5カ所が挙げられています。

1.道後温泉(どうごおんせん)

愛媛県松山市にある道後温泉の本館は、『千と千尋・・・』製作スタッフがスケッチしたという記録もあるようで、外観・内装ともに作品への影響が大きいと考えられています。

→公式サイト

2.元禄旅籠 油屋(げんろくはたご あぶらや)

岡山県真庭市の湯原温泉にある旅館。その名の通り元禄時代から続く旅館で、平成10年に改装してはいるものの、昔ながらの佇まいを持つ老舗旅館です。

→公式サイト

3.四万温泉 積善館(しまんおんせん せきぜんかん)

元禄七年開業、日本最古の湯宿建築を誇る老舗旅館。群馬県吾妻郡中之条町にあります。本館入口の前にある慶雲橋がアニメに登場する油屋の前の赤い橋のイメージモデルであると言われています。

→公式サイト

4.金具屋斉月楼(かなぐや さいげつろう)

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

naranciaさん(@narancia_a)がシェアした投稿

長野県下高井郡山ノ内町の渋温泉郷にある温泉旅館。国の登録有形文化財に認定されている斉月楼と大広間を有する歴史の宿です。アニメに影響を与えた建築物の一つと言われています。

→公式サイト

5.元湯 陣屋(もとゆ じんや)

神奈川県秦野市の鶴巻温泉にある旅館。宮崎監督の親族が女将をされており、幼少の頃に訪れた想い出がアニメにも影響していると言われています。

→公式サイト

5.子宝湯(こだからゆ)

足立区千住元町にあった銭湯でしたが、現在は「江戸東京たてもの園」に移築・保存されています。イメージモデルの中では最も自由に見学できる建築物です。

→公式サイト

6.目黒雅叙園(めぐろがじょえん)

油屋の内装のイメージモデルになったという噂がある、昭和の美術の粋を集めた豪華絢爛な内装を誇る結婚式場・宿泊施設です。

→公式サイト

異世界のイメージモデル

台湾の九份(キュウフン)一帯の風景がアニメに登場する混沌とした街並みに酷使しており、イメージモデルになったとされています。

特に豎崎路と呼ばれる階段道は最も有名なポイントです。

→参考サイト

釜爺の仕事場のモデル

釜爺の仕事場にあった、たくさんの引き出しはかなり印象的ですが、このモデルが「武居三省堂(たけいさんしょうどう)」だとされています。明治初期に創業した文具店で、店内には壁いっぱいに設えた無数の引き出しがあります。現在は江戸東京たてもの園で見学することができます。

→公式サイト

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク