読むともう一度観たくなる! ジブリ『千と千尋の神隠し』のトリビア・都市伝説・深読み

湯婆婆との契約 ~千尋とハクの違い

千尋は本名を伝えていなかった

千尋は契約書に本名を書きませんでした。当人が漢字を間違えたのか、わざとなのかはわかりませんが、荻野の「荻」が違うために契約が無効だった可能性があります。それが幸いして、ラストで契約を解消することができたのかもしれません。

ハクは契約を解消することはできない

終盤の「ハクと千尋の別れのシーン」では、千尋の手を放したハクの手だけが名残惜しげに映される数秒のカットがあります。これが湯婆婆の言葉通り「八つ裂きにされる運命」をハクが受け入れていて、千尋との永遠の決別を表しているという宮崎監督のコメントがあったとか。公開当時のジブリのHPでは「すべてのことはルールに従わなければならない」という世界観による「ハクの契約解除は不可能」という主旨の説明がなされていたという話もあります。湯婆婆に本当の名前を伝えた上での正規の契約を解除するための条件は「八つ裂き」やそれに相当する厳罰だったことが考えられます。

ハクは現世に戻ることができない

ハクのいたコハク川は埋め立てられてしまってすでに存在しないため、現世には戻れないということは容易に想像できます。現世で千尋に会うためには死んで魂になって戻るしか方法はなかったとか。

「カオナシ」が表現しているもの

カオナシは「金の亡者」のなれの果て

手から自在に金を出して贅沢三昧して、あげくには「千欲しい」と言い寄るカオナシ。物欲から逃れられないまま寂しくなくなった人の霊、あるいは物欲の象徴のような存在であるという解釈があります。

カオナシは千尋を身請けしようとする孤独な大金持ち

江戸時代の吉原などの描写では必ずと言っていいほど、花魁を身請けしようとする資産家が登場します。『千と千尋・・・』が遊郭をモチーフにしたとすれば、物語に欠かせない資産家の役割をカオナシに持たせたというところでしょうか。お金さえかければ女性をも買い取ることができるという、古き悪しき風習がカオナシという存在なのかもしれません。

「カオナシ」はサタン(悪魔)

千尋に懐き、千尋とともに電車に乗ったにもかかわらず、最終的に「沼の底」の銭婆婆の家に残る道を選んだカオナシ。その正体がサタン(悪魔)であるという指摘があります。

「ヨハネの黙示録」9章によると、サタンはその罪のために鎖でつながれ、1000年もの間とある場所に封印されていたと記されています。そこは堕落した天使を閉じ込めておく場所で「底知れぬ所」と呼ばれています。この「底知れぬ所」こそが「沼の底」だという解釈があります。

また、電車シーンの終盤に乗客が千尋とカオナシ達だけになった時、車外のネオンに「サタン」の表記が登場することも話題になりました。

「カオナシ」の顔のモデルが実在

カオナシのモデルは、原画担当の米林宏昌さんであると鈴木敏夫プロデューサーが語ったという話があります。米林さんはスタジオで麻呂(まろ)の愛称で呼ばれており、言われてみればカオナシに見えなくもありません。

物語のラストの演出

トンネルの色の違いで「解放」を表す

冒頭で車を止めたトンネルは赤いモルタル造りなのに、無事に車まで戻ってきた時のトンネルは白っぽいレンガ造りに変わっています。これには諸説ありますが、行きの3人はトンネルの前では既に魔法がかかった状態で赤いトンネルに吸い込まれていき、帰りは魔法が解けて現実世界に戻ってきたので普通のトンネルになっている、という解釈が一般的なようです。

トンネル内での会話

3人のトンネル内での会話は最初と最後を比較すると全く同じセリフや行動になっています。これは「異世界での記憶を失った千尋が帰りのトンネル内で行きと全く変わらない自分に戻った」「千尋は何も変わっていない、覚えていない」という宮崎監督の意図が隠されているという話です。

帰ってきた千尋には異世界での記憶がない

エンディングの様子では判断が付きませんが、帰りのトンネル内で母親にしがみつく千尋の姿は、行きと変わらない様子に見えることから、「トンネルを抜けた後の千尋には異世界での記憶がない」という噂が立ちました。

宮崎監督自身はとあるインタビューで、「ラストの千尋に異世界での記憶があるか」という問いに対してこう答えています。

「自分のやってきたことを全部覚えている人っていると思いますか?いないでしょ。でも銭婆の『一度あったことは忘れないもんさ』という言葉通り、人間の記憶って、思い出せないだけでどこかに残っているものだと思うんです。」

聴き方によっては、「忘れている」「覚えている」どちらともとれる回答ですね。

銭婆婆からもらった髪留め

元の世界に戻っても異世界と変わらない唯一のものが、千尋が銭婆婆からもらった髪留めです。この髪留めは、例え千尋が覚えていなくとも異世界の出来事が夢ではなかったという証拠です。

また、髪留めは光ることで何かを伝えようとしていると言われています。一度目は、決して振り返ってはいけないとハクから言われていた千尋が振り返りそうになってそれを自制した後。二度目は、トンネルを無事くぐり終えて帰ってきた千尋が、何も覚えていないながらも名残惜しむかのようにトンネルを見つめているときです。

物語のモデル

ストーリーの原案

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原案となった小説は「霧のむこうのふしぎな町」(柏葉幸子 著)だというのは有名な話。本書のアニメ化を計画して長い間構想を練っていたというのはジブリの制作日誌にも載っており、『千と千尋・・・』に少なからず影響を与えたことは明白です。

『千と千尋・・・』公開後、講談社は「霧のむこうのふしぎな町」の帯に著者・挿絵画家の承諾なしに「『千と千尋の神隠し』の原案となったファンタジー」と表記。そのことを発端に挿絵画家・竹川功三郎氏が著作権に関して版元の講談社に抗議し、最終的には1975年の初版以来親しまれてきた挿絵が、新装版にて総入れ替えされることとなりました。

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