マーガリンのトランス脂肪酸が体に悪いと騒がれはじめてずいぶん経ちますが、巷では植物性オイルを中心に、あれがいいこれがいいと、様々なオイルが注目を集めています。要するに何を摂取すればいいんだ?と混乱しそうになったので、ちょっとだけ整理してみました。
人間はオイルを全く摂らないというわけにはいきません。上手に摂ることで健康促進につながります。そして今注目されているオイルというのは、オメガ3系、6系、9系の不飽和脂肪酸を含んだオイルたちです。

By: Chrystian Guy – CC BY-NC-SA 2.0
積極的に摂取したいオイル
オメガ9系-オレイン酸を含むもの
脂肪の種類 | 単価不飽和脂肪酸 |
製品名 | オリーブ油、キャノーラ油、アボカドオイル、アーモンドオイル、菜種油、 ひまわり油、ヘーゼルナッツオイル (オメガ9系-オレイン酸) |
酸化 | 酸化しにくい(加熱調理向き) |
血液 | LDLを下げる効果あり |
発がん性 | 影響なし |
アレルギー | 影響なし |
オメガ9系のオイルは、善玉コレステロールを減らすことなく悪玉コレステロールだけを減らす効果があるとされています。また、新陳代謝を活発にする働きがあるので美肌効果やダイエット効果が期待できます。
オメガ3系-αリノレン酸を含むもの
脂肪の種類 | 多価不飽和脂肪酸 |
製品名 | 亜麻仁油、シソ油、チアシードオイル (オメガ3系-αリノレン酸) |
酸化 | 酸化しやすい(加熱に不向き) |
血液 | 血液をサラサラにする効果あり |
発がん性 | 影響なし |
アレルギー | 免疫力を高める |
オメガ3系のオイルの主成分であるα-リノレン酸は、体内でDHAやEPAに変わる性質を持ち、血液をサラサラにするアンチエイジングの妙薬とされています。脳の活性化やアレルギーの緩和、免疫機能の向上、中性脂肪の減少、がんの抑制など、様々な点で注目されています。また、善玉コレステロールを増やして悪玉コレステロールを減らす効果も知られています。
魚由来のもの
脂肪の種類 | 多価不飽和脂肪酸 |
製品名 | EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸) |
酸化 | 酸化しやすい(加熱に不向き) |
血液 | 血液をサラサラにする効果あり |
発がん性 | 影響なし |
アレルギー | 免疫力を高める |
俗に”魚油”と呼ばれる魚由来のオイルの主成分はパルミチン酸等の飽和脂肪酸ですが、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などの不飽和脂肪酸も多く含んでいます。EPA、DHAもオメガ3系に属し、血液をサラサラにする効果があり、動脈硬化の予防に役立つとされています。また近年では、アルツハイマー病やうつ病の予防にも効果があると考えられています。
あまり摂り過ぎたくないオイル
動物性脂肪
脂肪の種類 | 飽和脂肪酸 |
製品名 | バター、ラード |
酸化 | 酸化しにくい(加熱調理向き) |
血液 | LDLを高める |
発がん性 | リスクあり |
アレルギー | 影響なし |
飽和脂肪酸は体内に蓄積しやすいため、メタボの原因の筆頭とされています。美味しいのですが、摂り過ぎは避けなければいけません。
オメガ6系-リノール酸を含むもの
脂肪の種類 | 多価不飽和脂肪酸 |
製品名 | コーン油、サフラワー油、べにばな油、ごま油、サラダ油、マヨネーズ (オメガ6系-リノール酸) |
酸化 | 酸化しやすい(加熱に不向き) |
血液 | LDLを下げる効果あり |
発がん性 | リスクあり |
アレルギー | 免疫力を弱める |
オメガ6系のオイルはオメガ3系と真逆の効用があると考えられていますが、人体はバランスが重要で、オメガ6だけでは成長や健康維持に支障を来たします。多量摂取は控えなければなりませんが、適量の摂取は必須だと考えられています。
トランス脂肪酸を含むもの
脂肪の種類 | トランス型不飽和脂肪酸 |
製品名 | マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド |
酸化 | 人工的に酸化しにくくしてある |
血液 | LDLを増加させる |
発がん性 | 不明 |
アレルギー | 多量摂取でアレルギーの罹患率が高まる |
トランス脂肪酸の摂り過ぎはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やし、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を減少させる傾向があるとされています。心臓病のリスクを高める恐れがあり、注意が必要です。
摂るか摂らないか、ではなく、適量か過剰かが重要であるというところに難しさがあります。重要なのは、人間にとっての必須脂肪酸の中に「オメガ3系-αリノレン酸」と「オメガ6系-リノール酸」が挙げられていること。これらは必須アミノ酸と一緒で、”体内では作り出せないけれど生命維持に必要なもの”なので、コーン油とかサフラワー油などは摂り過ぎちゃダメだけど全然摂らないという訳にもいかないってことです。ほどほどっていうのが一番難しいですね。
一般的には「オメガ3:オメガ6」を「1:1」~「1:4」の比率で摂るのが良いとされています。でも日本人はオメガ3系は滅多に摂らず、オメガ6系ばかり余計に摂り過ぎている傾向があるとのこと。
そんなわけで、オメガ6系やトランス脂肪酸はもう十分摂り過ぎているから控えめにして、オメガ3系と9系をしっかり摂りましょうというのが、最近のブームの理由です。
次は代表的なオイルのおさらいです。