ジビエが流行っても減らないシカ害対策にオオカミの出番!?

信州・長野県のシカによる農林被害額は年間13~18億円。そのうち約4割がニホンジカによる被害だと言われている。ジビエ(狩猟による鳥獣肉)がメディアに注目されて流行の兆しを見せているとは言え、推定6万頭は生息していると思われるシカを減らすには食肉だけでは限界がある。その解決策として、県では2012年頃から「オオカミ」の導入案が持ち上がり始めた。



オオカミの導入・・・、聞いただけでは何やらとんでもない話のようにも聞こえるが、実際に可能なのだろうか。

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海外でのオオカミの導入例

アメリカのイエローストーン公園では、絶滅危惧種に指定されていたオオカミの保護とヘラジカ等の増殖による環境への被害を食い止めるために、1990年代からオオカミの導入を始めた。導入後、オオカミは順調に頭数を増やし、公園内では一時期150頭を超えるオオカミが確認された。現在では90頭ほどが生息している。

木の芽や樹皮を食い荒らしていたヘラジカ(エルク)は1万2000頭から4000頭まで減り、ポプラ、ヤナギなどの植生は回復。公園へのオオカミ導入により観光客が増え、経済効果は年間30億と試算されている。一方で、オオカミそのものの生態管理に年間3億円かかっている。

→「米イエローストン国立公園の試み」

諏訪市でも検討、導入案に賛否

霧ヶ峰高原等の観光地を持つ諏訪市でも導入案が検討されている。「リスクはほとんどない」「生態系が回復すればクマやスズメバチも森へ戻る」という肯定意見から、「(過去に)襲われたという文書がある」「客が怖がる」といった否定意見まで、検討会では意見も様々。日本ではすでに絶滅しているオオカミを迎え入れるというだけあって慎重だ。

→「諏訪市でオオカミを語る会」

オオカミは人を襲わない?!

『3びきのこぶた』や『赤ずきん』などの物語による影響もあってか、オオカミは恐ろしい生き物だというイメージが定着している。しかし実際にはオオカミが人を襲うようなことはごく稀だという。

飢えたオオカミが人を襲ったという話は時々あるが、基本的にオオカミは賢い生き物だとされており、人間を餌として認識することはないと言われている。それでも肉食獣であるが故、出会いがしらの不幸な事故はゼロではない。

→「飢えた狼、人間を襲う」

ただ、前述のイエローストーン公園もそうだが、オオカミが生息している地域で事故が多発しているかというと、決してそのようなことはない。日本にはオオカミがいないために、恐ろしいイメージばかりが先行しているという話もある。どんな動物でも飢えている時や傷ついている時、子どもを守る時などは攻撃的になる。それを十分認識した上で正しい共存関係が成立していれば、衝突は起こりにくい。

→「オオカミは人を襲うのか?」




信州にオオカミが導入されて個体数が増えていった場合、そのオオカミを見に行きたいかは人それぞれ。観光資源になり得るかという問題は一概に結論付けられない。しかし、シカの実害を蒙っている側とそうでない側とでは、温度差があって当たり前だし、1つ解決すればまた1つ問題が発生するというのも世の常。オオカミを導入するならば、それなりの覚悟をもって踏み出す必要があるだろう。

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