読むともう一度観たくなる! ジブリ『となりのトトロ』のトリビア・都市伝説・深読み

1988年に『火垂るの墓』との併映で公開された『となりのトトロ』は、観客動員数が約80万人、興行収入11.7億円と、現在の評価からは考えられないほどの低成績でした。しかしその後のTV放映は2014年で14回を数え、毎回20%前後の高視聴率を叩きだしている不朽のファンタジーです。人気作だけに深読みや都市伝説も多く、「裏トトロ」の世界がほぼ確立していると言ってもいいほど。それもこれも、作品が愛されているからこそなのだと思います。


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「トトロ」という存在

トトロは物の怪であり、子どもの時にだけ訪れると歌われていても、特に子どもの味方というわけではないようです。宮崎監督自身、トトロについてのコメントの中で「トトロはサツキに同情して助けたわけではない」と説明しています。相容れない存在こそ、古来の物の怪や妖怪の本質であると監督は考えているのかもしれません。

「トトロって、絵本に出てたトロルのこと?」というサツキのセリフがあるように、北欧伝承に登場するトロールが関係しているような描写もあります。北欧のトロールにも諸派ありますが、あまり善い行いをする存在としては描かれていません。

ここでサツキの言う絵本とは、エンドロールで母親が布団で読み聞かせをしている本に「三匹の山羊」という字が読めることから、ノルウェーの童話「三びきのやぎのがらがらどん」だと思われます。この作品には、やぎ達を飲み込もうとする醜い怪物トロールが登場します。

「トロールは死神で死期が近づいたものにしか見えない」という噂から、トトロも同じだという裏設定が一時期流行りましたが、北欧にもトロールが死神であるという設定はないようです。また、トトロの初期プロットでは「大トトロ=ミミンズク(1302歳)」「中トトロ=ズク(679歳)」「小トトロ=ミン(109歳)」という設定があり、トロールとの関係は薄そうです。

メイはトトロに名前を聞いたときに「トートーロー」と答えたと勘違いしたことになっていますが、実際にトトロが発した声は「ドゥオ、ドゥオ、ヴォロー(眠いよー)」だと言われています。

なお、デザインの原型は1972年に宮崎監督が原案・画面設定・脚本を担当した『パンダコパンダ』のようです。

『となりのトトロ』の背景

原案では女の子は1人だった

『となりのトトロ』は高畑監督の『火垂るの墓』と2本立てだったため、企画段階では[火垂るの墓』の上映時間(60分)と合わせるように60分もので計画されていました。ところがいざ制作にかかってみると、高畑監督の方は80分を越えそうだということで、『トトロ』もプランを変更。尺を80分以上にするためにストーリーも変更し、「主人公を姉妹にすれば20分くらい延びるだろう」という監督の発案でサツキとメイが誕生しました。

企画段階でのポスターではサツキとメイの原型となった別の女の子が一人でトトロの横に立っています。この女の子の名前はメイで、この子の設定を2人姉妹に分けた時に名前がサツキ(皐月=5月)とメイ(May=5月)になったと思われます。

因みにこの併映については「お化けとお墓の二本立てなんて不吉極まりない」と、スポンサーの猛反対にあったそうです。

幻の原作がある

『となりのトトロ』の原案ストーリーは「サツキとメイの地獄巡り」という内容の小説だという都市伝説があります。

この小説の中のトトロは死期が近い人にしか見えない物の怪。長い毛におおわれた巨獣で、全身から異臭を放ち、目や鼻や耳は無く巨大な口があるだけという恐ろしい怪物。

ストーリーはというと、これも惨憺たるもの。箇条書きで書くとこんな感じです。

  • お母さんは迫害に会ってお亡くなりに・・・
  • お父さんはお酒に溺れて子どもたちに暴力を・・・
  • 心を病んだメイは「お母さんに会いに行こう」と笑いながら×××・・・
  • その後メイは、お母さんに遭うために死後の世界(地獄)を彷徨う
  • サツキはメイの魂を救うために地獄に行くことを決心
  • 巨大な猫の化け物(ネコバス)に食べられ、魂だけになって地獄へ・・・

確かに「地獄めぐり」に相応しい内容になっています。しかもエンディングは誰も知りません。

作品のモチーフになった事件がある

『となりのトトロ』の根源には、1963年に埼玉県狭山市で起きた「狭山事件」があるという解釈が一部でされています。事件の概要はここでは省略しますが、トトロと事件との共通項は次の様な点が挙げられています。

  • 事件の舞台は埼玉県狭山市→トトロの舞台は埼玉県所沢市
  • 事件は5月1日に起きた→”サツキ”も”メイ”も5月を表す
  • 被害者(裕福な農家の四女)は16歳→サツキ(12歳)とメイ(4歳)合わせて16歳
  • 狭山丘陵の八国山に隣接した結核療養所保生園(現新山手病院)や東京白十字病院がある→トトロの世界には七国山病院がある
  • ジブリの公式ブログでトトロ都市伝説に対する正式なコメントが記載されたのが、事件から44年後の5月1日

なお、この件について現在では”悪質なでっち上げ”という評価が定着しています。

実在する小説版がある

「小説 となりのトトロ」(久保つぎこ 著)が存在します。この作品がアニメと決定的に違うことは、トトロを「孤独感に苛まれた姉妹が作り出した幻影」と捉えていることです。サツキとメイを「情緒豊かで純真な心を持つ姉妹」と捉えるか、お母さんが入院していて寂しい思いをぐっと堪えて明るくふるまう健気な姉妹」と捉えるかの違いかもしれません。

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